2025.02.18

国際コンテストのサステナビリティ部門で「錫白」が世界一位を受賞!

(2025.02.07|2025.02.18 更新)

鋳物メーカー・株式会社能作、金箔メーカー・株式会社箔一とNIKKOがコラボレーションした「錫白(すずはく)」シリーズが陶磁器の世界的な業界誌が主催するコンテスト『テーブルウェアインターナショナル・アワード・オブ・エクセレンス 2025』のサステナビリティ部門にて世界一位となる優秀賞を受賞しました。

世界各国のブランドがエントリー。日本のブランドでは唯一の優勝

コンテストの主催者であるTableware International(テーブルウェアインターナショナル)は、今回のコンテストには世界各国のブランドから250以上のエントリーがあったことを発表しています。今回、全部門を通して日本国内ブランドで世界一位に選ばれたのはNIKKO 1社のみです。

審査員のコメントでは「Innovative and creative design(革新的かつ創造的なデザイン)」と、NIKKO・能作・箔一の3社がそれぞれの技術や知識を共有し合ったからこそ実現したデザインが評価されました。

今回、「錫白(すずはく)」が世界一位を受賞したのは、持続可能性に焦点を当てた「サステナビリティ部門」。コンテスト第8回目の開催にしてはじめて新設された部門です。近年、ますます多くの食器メーカーが環境福祉を優先するなかで、持続可能な方法で責任を持って作られ、環境への影響を減らすよう意図的に設計された製品、コレクション、またはプロジェクトが「サステナビリティ賞」の対象となります。

世界一を受けて、開発者のコメント

NIKKO専務取締役・三谷 直輝(みたに なおき)

「錫白は意匠性と機能性がとても良くバランスしている商品になったと思います。審査員からinnovativeでcreativeなデザインと評して頂いたことは私たちが目指していたそのものであり、とても嬉しく感じます。素材や技術だけでなく各社のモノづくりに対する拘りが交わることができたプロジェクトに思います。日本の工業と工芸の未来は明るい!」

NIKKOデザイン室・佐久間 和(さくま わたる)

「焼き物である陶磁器は、すべて全く同じにはなりません。個々の若干の違いも考慮して均等に綺麗な仕上げをしていくのはとても難しかったですが、試行錯誤を重ねて作り上げた商品がこのような世界的な栄誉をいただき、大変励みになります。また、開発や製造において多大なご協力をいただいた能作や箔一の皆さま方には、改めて感謝をお伝えしたいです。」

構想から3年、「錫白(すずはく)」の開発

Material Waves™プロジェクトから生まれたシリーズ

「錫白(すずはく)」は、1908年創業のNIKKOが次の100年に向けて新しいことを探求していくなかで、工芸や工業製品の垣根を超え、陶磁器(NIKKO FINE BONE CHINA)と異素材を掛け合わせることによって生まれる新たな価値を見出すプロジェクト「Material Waves™(マテリアルウェイブス)」の第2弾商品として発表したシリーズです。

「錫白」の開発を通し、NIKKO・能作・箔一の3社が今まで培ってきた技術を駆使して、陶磁器と金属(錫)を組み合わせるという新しい技法を確立。何度も試作を重ね、構想から約3年、機能性と美しさを兼ね備えた商品が完成しました。

陶磁器×異素材:工業×工芸

NIKKO:陶磁器(NIKKO FINE BONE CHINA)
能作:陶磁器のフチを覆う錫
箔一:錫のフチを金箔・銅箔・錫箔の箔加工とコーティング

サステナブルなポイント(1)長く使える、強度とデザイン性

一般的にお皿の破損で多いのは、フチが欠けてしまう(チップする)こと。錫白は、NIKKO FINE BONE CHINA製のプレートのフチを金属(錫)で覆うことでより強度を高め、長く使っていただくことのできる器です。
また、プレートのフチ錫白のフチ部分の錫には金箔・銅箔・錫箔の箔加工とコーティングが施されています。金属でありながらとてもやわらかい錫素材のフチは、衝撃により変形する場合がありますが、そうした経年変化も風合いとして長くお楽しみいただけます。
長く使うことのできる機能性と、長く使うことで風合いを帯びるデザイン性を両立したものづくりは、限られた資源を大切に使い、廃棄物を削減することにもつながります。

※錫が変形する衝撃があった場合、箔の剥がれが起きます。
※水に長時間漬け置きしないようにしてください。

サステナブルなポイント(2)伝統的な技術の継承

NIKKOの「それぞれの素材と向き合ってきた者同士が、技術や知識を共有し合うことで、今までになかったプロダクトや新しい価値観を創出できるのではないか」という考えからスタートしたこのプロジェクト。
異なる素材を掛け合わせて新たな商品を生み出し、継続的に発信していくことで、工芸や工業製品の垣根を超え、各地の産業や職人の手技・伝統を守っていくことを目指します。

JOURNAL 錫白を見る

株式会社能作について
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株式会社 能作 NOUSAKU

大正5年(1916)年、富山県高岡の地で創業し仏具や茶道具、花器などの鋳物の製造を開始。
2003年には創業から受け継がれてきた職人の技術を持って世界初となる錫100%製のテーブルウェアを開発。
代表作は、真鍮製の「ベル」、錫100%製の「KAGO」。

また本社工場が日本インテリアデザイナー協会「JID AWARD 2018」大賞を受賞している。
https://www.nousaku.co.jp/
株式会社箔一について
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株式会社 箔一 HAKUICHI

1975年(昭和50年)創業。高級工芸品に使われていた箔を「金沢箔」という産業として確立。工芸品をはじめ、化粧品や食品などを製造・販売。伝統と革新の融合を目指し、国内外で箔の可能性を広げている。
https://www.hakuichi.co.jp/

「テーブルウェアインターナショナル・アワード ・オブ・エクセレンス」とは?

陶磁器の世界的業界誌「Tableware International(テーブルウェアインターナショナル)」が主催。革新性とデザインの卓越性に焦点を当て、オリジナリティ、ストーリー性をあわせ持ったテーブルウェアに栄誉を授ける賞。世界各国の小売店、バイヤー、デザイナーの方々により審査が行われます。

賞の審査基準

  • デザイン/機能性(優れた機能性または多機能性、適応性など)
  • イノベーション(独創性、独自性、素材の巧みな使用など)
  • 美しさ
  • ストーリーテリング(背景にあるストーリー、持続可能性、伝統、コラボレーションなど)

テーブルウェアインターナショナル公式サイト(英語)(外部サイトへ)

これまでの受賞歴

NIKKOは、2018年の第1回目コンテスト以降、様々なコレクションが受賞。2018年と2020年には、2つのカテゴリで優勝とファイナリストの同時受賞を果たしています。

Innovation 部門 2023年 ファイナリスト HERALBONY(ヘラルボニー)
Innovation 部門 2022年 ファイナリスト #Single use Planet(シングルユースプラネット)
Hospitality Dinnerware 部門 2021年 世界1位 HALO(ヘイロ)
Hospitality Dinnerware 部門 2020年 世界1位 NOVEL DRAGON(ノーベルドラゴン)
Fine Dinnerware 部門 2020年 ファイナリスト TWINKLE MOSAIC(トゥインクルモザイク)
Licensed Collaboration 部門 2019年 ファイナリスト FLOWER DANCE(フラワーダンス)
Fine Dinnerware 部門 2018年 ファイナリスト UYUN(ウユン)
Licensed Collaboration 部門 2018年 世界1位 墨の瞬(すみのとき)