「ミングトゥリー」は1957年に発売したNIKKOのロングセラーシリーズです。世界中で普遍的に見られる「生命の樹/Tree of Life」の図案をもとにデザインしています。現在は硬質陶器からNIKKO FINE BONE CHINA(ニッコーファインボーンチャイナ)に素材を変え、「MING TREE(ミングトゥリー)」として販売しています。
この度、この歴史ある「ミングトゥリー」をグラフィックデザイナー・小林一毅(こばやし いっき)氏が再解釈しリデザインした新シリーズ「MING TREE Ⅱ(ミングトゥリー セカンドエディション)」が誕生しました。
新しい世代にも広がるネクストスタンダードを目指して
2024年に直営店の3周年を記念して、創業116年のNIKKOの歴史をひも解く企画展示「NIKKOの歩みとこれから」を開催しました。(当時のイベント詳細はこちら)
長い歴史の中でのアーカイブは資産であるという考えのもと、歴代シリーズを現代の感性で再解釈し、デザインとクラフトの新たなバランスを追求する企画の第一弾として、人気シリーズMING TREE(ミングトゥリー)の新ラインを展開することとなりました。
「MING TREE Ⅱ(ミングトゥリー セカンドエディション)」は長い歴史を持つシリーズを通して、新しい世代やライフスタイルにもNIKKOの魅力を広げるNIKKOの”ネクストスタンダード”となるシリーズです。
既存のMING TREE 6アイテムに、新たに深皿(カレー皿) やマグ、22cmプレートを加え、より幅広いシーンに対応するラインナップとなりました。
サイズや形状、素材はNIKKO FINE BONE CHINE製のMING TREEシリーズと同様です。
一部の形状では、2種類の絵柄を展開しています。デザイン性と実用性を兼ね備えた全14アイテムをご用意しています。
思考の先にある洗練された構成を描く小林一毅氏
MING TREE Ⅱをデザインした小林一毅氏は1992年生まれのグラフィックデザイナーです。ハンドドローイング(手描き)を軸に制作を行い、ロゴやパッケージデザインなどのグラフィックデザインに加えて、おもちゃの制作をはじめ立体プロダクトの開発などにも取り組んでいます。
小林氏のデザインは、余白、色の間合いといった“目に見えない部分”まで設計され、形や構成の美しさの裏に、観察や思考の深さが見え隠れしています。

構想段階から約1年 手描きで描き続けたデザイン
オリジナルがもつ有機性を生かしながらの再解釈
元々のデザインを再構成するという作業は一から新たなものを創り出すこととは違う難しさがありました。小林氏は、オリジナルを極力受け継ぎ、オリジナルが持っている有機性を維持することを意識したといいます。
1957年、ミングトゥリーが誕生した当時の製造方法は銅板印刷であり、銅板の特性を生かしたデザインでした。MING TREE Ⅱは銅板印刷ではありません。転写紙の印刷技術であればどうするのが良いかを考え、面的な表現でリニューアルする方向性になりました。その際にはどこを面として表現し、白と塗りのバランスでどれだけ食器として均衡が取れるかを意識し、オリジナルの図案を再解釈していきました。

硬質陶器製のミングトゥリー(銅板印刷)
描き続けることで自分の形に置き換えていく
小林氏はデザイン制作にあたり、構想段階から約1年をかけて膨大な線をすべて手描きで描き続けながら、ミングトゥリーをデザインした当時のNIKKOのデザイナーの意図を理解していきました。
それはまるで音楽家やスポーツ選手の練習風景のように、反復作業を繰り返す中でミングトゥリー特有の線の表情を自らの感覚に染み込ませました。その過程の中で、従来のミングトゥリーにはない新しい造形とは何かを考え、自身の視点も入れながら新しいデザインを構築していきました。
そしてその中から厳選したパターンをもとに、全アイテムを手描きで仕上げるという徹底したクラフトアプローチを採用しています。

日常に溶け込み豊かさを育むような器に
MING TREE(ミングトゥリー/生命の樹)は、万物の根源的な命を樹木になぞらえたもので、ペルシャ・インドやアジア各地で生まれ、ヨーロッパにも伝わった普遍的な図案です。絵柄は「豊饒」「健康」「繁栄」の歓びを表しています。
小林氏は制作に取り掛かる前の半年間、実際の生活の中でMING TREEシリーズを使用しました。その過程でMING TREEⅡのデザインにおいては「生活の中に自然に溶け込むこと」が欠かせないと実感しました。手にした時の喜びが、やがて日々の生活になじみ愛着を育てていく――そのようなMING TREEⅡのある生活を思い描きました。
今回完成したMING TREE Ⅱ(ミングトゥリー セカンドエディション)を通して、日常の暮らしの中で使うたびに心を満たす豊かな食の体験をお届けいたします。
皆さまの日常に寄り添い、永く手元に置きたくなる存在になるはずです。

NIKKOハンドペイント














